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2008年10月17日

妖魔の騎士



原題は『Sorcerer's Son』。
男と女の情念、父と子の愛を煌びやかな筆致で描いたファンタジーの名作で、いつか監督としてゲーム化したいと思っている作品である。
著者は、フィリス・アイゼンシュタイン。
33歳の時に発表した『Sorcerer's Son』で注目を集め、36歳で発表した『西部の伝説に(In The Western Tradition)」がネヴュラ賞候補となるなど、女流作家としてめざましい活躍をしている。
『Sorcerer's Son』は、1979年に原書が発刊され、1983年に翻訳版『妖魔の騎士(上)(下)』が日本で発刊された。
翻訳は、井辻朱美 。挿絵は、めるへんめ-かー。


(上巻あらすじ/裏表紙より)
魔法使いレジークは、織り姫デリヴェヴに袖にされた腹いせに一計を案じた。
妖魔を使い、自分の子を織り姫に孕ませようというのだ。
奸計は功を奏し織り姫は男の子を生み落とした。
だが、やがて事態は狡知に長けたレジークでさえ予期せぬ方向に進み始めた。
心を持たぬはずの妖魔が織り姫を愛し、その息子クレイにも父性愛を抱いているらしい。
しかもクレイは、真の父親を訪ねて遍歴し、己の出生の謎を解き明かそうとしていた!

(下巻あらすじ/裏表紙より)
若き騎士クレイは、父を探して諸国を遍歴した。
だが、その探索の旅の行き着くところは、いつも悲報ばかりだった。
あますところ、父を探す手段は唯ひとつ――妖魔に問いただすしかない!
クレイは自ら妖魔支配者になるべく、高名な魔法使いに弟子入りすることになった。
だが、こともあろうに、その魔法使いこそクレイの真の父スマダ・レジークその人だった!
そんなこととも露知らず、一心不乱に魔法修業に精を出すクレイ。
一方、ただならぬ事態に気づいたレジークは、クレイの修業の妨害をするばかりか、果ては殺害まで企むのだった……!?


『妖魔の騎士』は、その世界設定や人物造形などがとにかく素晴らしい。
クレイの真の父親である妖魔ギルドラムは、デリヴェヴを孕ませるために美しい青年の姿に変わっていたが、普段は少女の姿なので、クレイはギルドラムが父親だとは気づかない。
そのもどかしさや、真の愛に目覚めデリヴェヴとクレイを見守るギルドラムの心情など、登場人物たちの心理描写も読む者の心を時に切なく、時に温かくさせる。
しっかりと設定が作られているからこそ、読者はそのシーンや世界を明確にイメージする事ができるのだと思う。
織り姫(織り姫は、ジェイン・ヨーレンの『夢織り女』もそうだが、「織る」という行為が幻想的なイメージをかき立てる。日本でも『鶴の恩返し』において「織る」という行為が幻想的に描かれている)や指輪妖魔などの用語も世界観を構築する重要な要素となっている。
下僕となる指輪妖魔を自分の物とするためには、真の名前を知らなければならないという辺り、日本の鬼や妖怪の民話や《言霊》に通じる部分があって面白い。

そんな『妖魔の騎士』だが、原書『Sorcerer's Son』が発刊されてから9年後の1988年に続編『The Crystal Castle』が発刊されている。
翻訳版『氷の城の乙女』も1997年にハヤカワ文庫から発刊されているので、クレイの冒険の続きが読みたい人は併せて読むといいかもしれない。
訳者が、『妖魔の騎士』と同じ井辻朱美さんなのも嬉しい。
『氷の城の乙女』のあらすじは↓


(上巻あらすじ/裏表紙より)
妖魔の騎士にして金属と織物をつかさどる魔法使いクレイ。
彼が親友の見者フェルダーと共に作った鏡は、見る者の心の望みを映す魔力を備えていた。
だが、鏡にはなぜかクレイの心の望みだけが映らなかった。
それから数年――ふたたび鏡を覗いたクレイは、そこに一人の少女の姿を見た。
さらに何年かが過ぎるうち、鏡の中の少女は麗しい乙女へと成長していった……乙女の正体を求めて妖魔の騎士クレイの新たなる旅が始まる!

(下巻あらすじ/裏表紙より)
鏡の中の乙女の名はアライザ。
氷の妖魔ただ一人を下僕に、人間界と氷界のはざまに建つ氷の城で魔法の修行をしていた。
ようやく捜しあてたアライザに惹かれるクレイだが、乙女はなかなか心を開こうとしない。
やがて、クレイは知った――乙女には魂がないことを。
彼女の師であり実の祖父でもある魔法使いが盗んだのだ!
クレイはアライザの魂を取り戻そうと決心するが……。
きらめく想像力を駆使して描く愛と癒しの魔法物語。

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Posted by 今井秋芳 at 12:09│Comments(6)小説
この記事へのコメント
おっ、面白そう!
ファンタジーやRPG好きの俺は食指が動きますわ!
Posted by noguard at 2008年10月17日 16:20
めるへんめーかーってのがまた懐かしい。

最近、何を読もうか困っていたので。
私も食指が動きますわ!
Posted by サイクロップス好き! at 2008年10月17日 19:42
>>noguardさん
面白いので是非!
Posted by 今井秋芳今井秋芳 at 2008年10月17日 22:35
>>サイクロップス好き!さん
めるへんめーかーを知っているとは、只者じゃないですね(笑)
Posted by 今井秋芳今井秋芳 at 2008年10月17日 22:36
私も大好きな作品です。
ゲーム化…しかも今井監督が!実現したら嬉しくて倒れるかもしれません(笑)
2004年に三作目の『The City in Stone』が出版されたらしいですね。是非ハヤカワさんに翻訳して頂きたいです。
めるへんめーかーさんの挿絵…は今は絵のお仕事をしておられない様なので無理かもですが…。
Posted by hiwa at 2008年10月19日 10:50
>>hiwaさん
そうやって、いまだに新作が出るって事は作者にも愛されている作品なんでしょうね。
『妖魔の騎士』は、かなり昔からゲームにしてみたいと思っていましたんですよ。
Posted by 今井秋芳今井秋芳 at 2008年10月20日 14:50
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