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2011年11月12日

●『その土曜日、7時58分』

『その土曜日、7時58分』

世の中、幸福な結末よりも悲劇的結末を好む人も多い。
運命に翻弄され、破滅への道を辿る人々の姿に生きるという事の残酷さを感じ、人生の無情を噛み締めるというのも悪くはない。
本作は、救いのない物語である。ADVゲームでいえば、登場人物のルート全てがバッドエンド。
観賞する時は、気分がローじゃない時をお勧めする。
監督は『十二人の怒れる男』『狼たちの午後』『評決』など社会派の作品を数多く撮っている巨匠シドニー・ルメット。
人間の欲望や本質をこれでもかというぐらいスクリーンに映し出すその作風はハリウッド的ド派手な作風とは真逆といえる。
まるで、本作がフィクションの映画だと忘れてしまうリアリティと緊迫感がそこにはある。

会社の金を横領しているアンディ・ハンソンはそれを隠ぺいするため、弟ハンクにある計画を持ちかける。
ハンクもまた娘の養育費などで金に困っていた。
計画というのは自分たちの親の店を襲撃し、現金を強奪するというもの。
アンディは、親の店は保険に入っているので、強盗しても実害はないと踏んでいた。
2人は計画を立て、実行に移すのだが、予期せぬ出来事から、計画は破綻していく。

主役となる堕落した兄弟を演じるのは、フィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホーク。
どちらも金に困ったあげく、犯罪に手を染め、破滅していく小物っぷりを存在感たっぷりに熱演している。
まるでドキュメンタリーを観ているかのような息苦しさの中、ハンク(イーサン・ホーク)の妻を演じるマ
リサ・トメイの存在が作品に色を添え、
冒頭から容姿に似合わぬ身体を張った演技を見せてくれている。
社会派の作品といえば、どこか説教臭かったり、盛り上がりもなく淡々と話が進んで退屈だったりする物も多いが、
先が気になって目が離せないというのは、監督であるルメットの演出の手腕に他ならない。
近年では、昔の作品のようなキレがなくなり、演出も弱くなったと批評家たちにいわれていたルメットだが、
本作が公開されるや、往年の輝きを取り戻したと多くのファンが喜んで彼を讃えた。
しかし、そんなルメットも、2011年4月9日、リンパ腫のため亡くなっている。
享年86歳。本作が彼の最後の作品となった。



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Posted by 今井秋芳 at 07:58│Comments(1)シネマ
この記事へのコメント
映画タイトルと同じ『その土曜日、7時58分』で投稿もしてしまう所が、さすがは今井監督です。
ゲームの節々にも現れる、今井監督のこういった心憎さが大好きです(笑)

最近は、録画溜めして残り容量が逼迫してきたHDDの空き作りに時間をとられ、映画を見る機会が随分減っていたのですが、今井監督のレビューを拝見していたら、すっかり映画が観たくなって参りました。
こちらで紹介された作品を、明日幾つかレンタルしてこようかと思います♪

それにしても最近にしてはハイペースな連続ブログ投稿。レビュー溜めをされているんですね(笑)
Posted by N at 2011年11月12日 21:43
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