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2008年07月29日

●『パフューム ある人殺しの物語』

●『パフューム ある人殺しの物語』★★★★★

パトリック・ジュースキント原作の18世紀パリを舞台にした『香水~ある人殺しの物語~』をドイツ・フランス・スペインの合作で映画化。
天才的な鼻と感性を持つ主人公ジャン=バティスト・グルヌイユが、究極の香りを完成させるために人殺しに手を染め、
堕ちていく姿を淡々とリアリティ溢れるシナリオ運びで描いている。
主人公グルヌイユを演じるのは舞台出身のベン・ウィショー(どことなくアントニオ・バンデラスに似ている)、共演にダスティン・ホフマンとアラン・リックマン。

本作をひと言で表現するとすれば「狂人と天才は紙一重」だろう。
天才故の渇望と天才故の犯罪。
ともすれば、天才は何をやっても許されるという雰囲気さえ漂いかねない流れもあるが、グルヌイユの末路を見ると、狂った天才を待つものは悲劇しかないのだと思わざるをえない。
ただ、その悲劇的結末を『自滅』ととるか『昇華』ととるかで、この作品の印象は大きく変わる。
正直、殺された少女たちのあまりの報われなさに気分が悪くなったが、それもまたこの作品が持つ歪でグロテスクな香りな
のかもしれない。
五感をテーマにした作品というのは、とかくエロティックでグロテスクな二面性を持っている。
よく映画の1シーンで、食事の最中に口元だけを映し、咀嚼音を観客に聞かせる場合があるが、その光景は実に醜悪でエロティックである。
そういった食事のシーンこそないが、嗅覚が捉える香りをテーマとした本作では、香水の香りを『庭園で美女が囁く行為』で表現したり、女の汗や息遣いや肌のアップで匂い立つ香りを表現しようとしている。
それらは巧みな演出とカメラワークによって、本来、香りを感じるはずのない映像から、まるで香りが立ち上っているかのような錯覚さえ、観る者に与える。
観終わった後にふと、グルヌイユが執拗に求めた最初に殺された少女の香りを嗅いでみたいと思った。
そう思わせられた時点で、すでに作品の放つ香りに魅せられているのかもしれない。
グルヌイユが捕らえられる前までが緊迫のサスペンス(切り裂きジャックを思い出した)だとしたら、捕らえられた後からは哲学と陽炎のようなファンタジー。
ここにもまた、作品の持つ二面性が表れている。
香りをテーマに、天才の苦悩とエゴと堕落を繊細な描写で作り上げた異色作。



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Posted by 今井秋芳 at 00:55│Comments(0)シネマ
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