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2008年10月05日

●『遠い空の向こうに』

●『遠い空の向こうに』★★★★★

田舎の炭鉱町に住む平凡な高校生ホーマー。
だが、1957年 10月4日、打ち上げられたソ連の人工衛星「スプートニク」を目撃した日から彼の運命は一変する。
自分でロケットを作るため、仲間たちと失敗を繰り返すホーマー。
その少年たちの夢を応援する女教師。
炭鉱夫である父親との確執。
やがて、彼らの作るロケットは、炭鉱町の大人たちをも巻き込んでいく。

監督は『スターウォーズ』や『インディ・ジョーンズ』シリーズのSFXを手掛けてきたジョー・ジョンストン。
主演は、ジェイク・ギレンホール(『ムーンライト・マイル』『デイ・アフター・トゥモロー』)。
夢と希望を追い続けるホーマー(ジェイク・ギレンホール)たち少年の姿が観る者の胸を打つ。
挿入曲に使われているエルヴィス・プレスリーの『Jailhouse Rock(監獄ロック)』が、閉鎖的な炭鉱町や少年の抑圧された日常を表しているようで、陽気な歌ながら時として切なく聴こえる。
失敗を繰り返しながらもロケットに賭けるホーマーと炭鉱に命を賭ける頑固な父親(クリス・クーパー)の不器用な父子愛が美しく、普通の家族の普通の肖像を淡々と描いている部分も好感が持てた。
実話の映画化というのは、エピソードをドラマチックに描いたり、過剰な演出をしがちで、演出的・映像的には盛り上がるが、そこが冷める部分でもある。
本作は、親子や友人、先生などとの等身大の「ありそうな会話」「ありそうなシーン」を巧く描いており、よくあるような「話が出来すぎてる」感はない。
原作は、後に実際にNASAのロケット・エンジニアになったホーマー・H・ヒッカムの自叙伝『ロケットボーイズ』。
実は、映画の原題は『October Sky』だが、それは原作『Rocket Boys』のアナグラムになっているというミステリーもビックリの隠しネタがあったりする。
こういった部分でも、原作を尊重しようという姿勢が製作者側にあるというのは素晴らしい事だ。中々、できるものではない。
炭鉱町から生まれた少年たちの夢。それが結実していく様子は、現代で夢を追っている少年少女や夢を追う事を忘れた大人たちに夢を持つ事の素晴らしさを教えてくれる。
いつの時代も意志あるところに道は生まれるのである。
最後に、映画では描かれなかったホーマーのその後の話を原作から抜粋してみよう。


その小さな茶色の箱には、読みにくい父の字で 「サニー(ホーマーの愛称)」 とだけ書かれていた。
開けてみると、そこには何枚ものティッシュペーパーでていねにくるまれた、とっくの昔になくなったと思っていたものが入っていた。
科学フェアのリボンとメダル、それに変わった形の工芸品。ケイトンがつくってくれた見事な出来栄えのラバール・ノズルだった。
1997年11月、ぼくが NASA を退職する直前に、友人の宇宙飛行士・土井隆雄氏が、父がとっておいてくれた科学フェアのメダルとオーク号のノズルを、スペースシャトル・コロンビア号に乗せて、宇宙に持っていってくれた。
打ち上げは完璧だった。
ぼくはケープ・カナベラルに出かけ、大きな宇宙船が発射台から打ち上がるようすを見守っていた。
誇らしく、満たされた気分だった。
BCMA のロケットは、ついに宇宙に到達したのだ。


これに対して、宇宙飛行士・土井隆雄氏も原作にコメントを寄せている。


「宇宙にこれを持っていってくれないか」
そう言ってホーマーが差し出したのは古びたメダルと小さなボルトのようなものだった。
それらがいったい何で、どういう意味を持っていたのか、私はこの本を読んではじめてわかった。
そして同時に、なぜホーマーと私がこの年月親しい友人であり続けたのか、理解できた気がする。
宇宙を夢見て、何度も失敗を重ねながら夢を実現していったサニー少年は、そのままかつての私だったのだ。

夢をもつことはむずかしい。
そしてその夢を持ち続けることはもっとむずかしい。
だがこの本を読んで、夢を追い求めることのすばらしさに、より多くの子供たちが気づいてくれることを願う。
そして、より多くの子供たちが、すばらしい夢を見つけることを願っている。

1999年 12月27日 土井隆雄



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Posted by 今井秋芳 at 02:25│Comments(0)シネマ
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